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よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

東方見聞録

東方見聞録

ビッグコミックオリジナルの漫画「イリヤッド」に「東方見聞録の祖本」というのがでてきます。漫画では大きな紙が製本されないで束になってるものなので、ホントにそんなものがあるのかいなと思って読んだ次第です。


さて、こちらは平凡社東洋文庫東方見聞録」です。愛宕松男先生の尽力により全訳が読めるわけですね。(あの暗殺者養成集団「山の老人」の記述もありますゾ。)
漫画では削除された項目として挙げられている「秦の始皇帝」、たしかに始皇帝など出てきませんでした。


さて、以前マルコ・ポーロは実在しないというのが最新の学説だと聞いて驚いたものですが、この東洋文庫の解説には元朝の史記マルコ・ポーロ一行の連れの三人が登場していると記しています。
元朝の官選書「経世大典」は明代に散逸しており、いまはないのですが、「永楽大典」に引用されて残っているというわけです。

以下引用
「ところで現存する元朝の一公文書には、ポーロ家の三人についてこそ言及してはいないが、彼らが同伴したイル・カン国の三使節ウラタイ、アブスカ、コージャの一行が至元27(1290)年の末をもって泉州から帰国せしめられた事情が明確に記録されている。ほかならぬそれは、早く散逸して今は伝わらない元朝の官選書『経世大典』であるが、それが『永楽大典』巻19418に引用されていて、さいわいにもその一節にその公文書を含んでいるからなのである」(東方見聞録1の解説350Pより)

「帰国するときに近東タルタール領主アルゴンの王妃ボルガナが亡くなり、その遺言として、彼女を次いで王妃の座を占むべき者はぜひともその一族中から選んで欲しい旨を書き残していた。そこでアルゴン王はウラタイ・アブスカ・コージャの三重臣を選び、これに大層な随員を付してカーンのもとに派遣し来たり、亡き王妃ボルガナと同族の姫を継室に賜りたいと懇願せしめた。三名の重臣はカーン宮廷に至って使命の子細を奏上したが、カーン特別に彼らに引見を許し、厚く歓待せしめた。さて、一日、カーンは故ボルガナ王妃の一族で芳紀17歳になる絶世の美人コカチン姫を召し寄せ、これをアルゴン王の三重臣に引き合わせ、この娘なら不足はあるまいとただした。これに対し三重臣は申し分のない旨を回答した。かくしていよいよアルゴン王の花嫁を送り届ける段になるや、カーンは特別の思召しを持って、仰々しい随行者の一行を三重臣に付与せしめた。」
(1の28Pより)


この三重臣はいったん帰国の途につくのですが、道を阻まれていったんカーンの元に引き返します。そのさいマルコを含むラテン人3人を彼らの一行に加えて帰国したいものだと話し合い、カーンに請願したのでした。しぶしぶながらこの請願を聞き入れて、コカチン姫と共にマルコ一行も帰国することになりました。

こうして両者の記述が一致します。
(注のほうで「ただし、『経世大典』のこの記録にはコカチン姫について述べるところがなく、代わって南宋の宮女朱○々ら三名を賜る旨が記されるのみである」とあります)
マルコポーロの元における存在はこの文しかないわけなので、唯一の証拠だということになりますな。



http://www.tabiken.com/history/doc/R/R225L100.HTM
「世界歴史事典データベース」(マルコ・ポーロ