よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

トリアージ

後日石原さんは2000人と言う数字は佐々さんに聞いたと言っているのですが、ではその佐々氏の発言。


佐々淳行(4/9放送「ザ・ワイド」)


「実はね、死者の総数は6,434なんでございます。そうするとね、これの2割ということは千数百人なんですね。
それはねトリアージ、緊急治療システム、もう重傷者から先に手術をするという、優先順位をつける、アメリカやっております、世界中やっております、日本はやっていないトリアージシステム、それのことを彼(石原氏)は言ってるんです。
ですからね、長い間ね、病院で緊急治療しなきゃいけないやつを、番号札配ってね、先着順っていうのをやって、若いやつらみんな軽傷者で来ちゃってね、重傷者が後から死んだっていうのは、間違いない事実であります。
貝原さん、お気の毒ですけれども、我々はやはり最初に、8割圧死というのが本当かどうか疑っております。
火災でもって、生き埋めになった人で、あの、火あぶりになった人たくさんいるんだから。
出動要請をしなかった、自衛隊は来るのは違憲だと言った人たちは誤りだと思います。」


佐々さんが震災後初めて神戸に来たのは1月23日だったというんですけどね。


その当時トリアージなんてそんなものがあるとは知らなかったですよ。現場の医師たちも難しい判断だったでしょうし。だれが「若いやつらみんな軽傷者で来ちゃってね」なんて簡単にいえるんだと。


ウチに避難させた隣のおばあさんも見た目にはけがしてないようだったのに、翌日病院に行ったら骨盤骨折で5ヶ月入院してそのままお亡くなりになったのですから。


2年前の尼崎の脱線事故の時には十分トリアージをしていたと思いますが、これも見た目で判断するだけですから顔に裂傷があったり頭部から出血していたりすれば重症だと判断できますがネ。いったん救急車に乗ったのに重傷者がいるのでと後にしてもらえますかといって降ろされた人が実は腰椎骨折で3ヶ月入院となったなんて手記など読むと、トリアージというのも万能ではないなあと思うのでした。


参考
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=201392
兵庫県知事よ、聞け。渡部昇一佐々淳行『前知事のせいで2000人犠牲者が増えた』」
新潟地震の後ぐらいの対談のようです。自画自賛。
渡辺さんはこのころから「2000人」と言ってたわけですな。
阪神のときは「自衛隊の出動命令が出たのが1月21日、4日後です」こんなの事後に出したに決まってますが。


参考2
http://www.nikkeibp.co.jp/sj/interview/29/index.html
「日本の危機管理はこれでよいのか 後編(石原・佐々対談形式)」(2005)
佐々「阪神大震災の後、事後調査をやってみると、交通渋滞を起こしていた人たちの60%が、会社に行こうとしていたのです。ものすごい忠誠心です(笑)。しかし、この忠誠心は災害時には何の役にも立ちません。なぜって、会社に行っても会社は潰れているわけですから。
 もう1つ一例を挙げましょう。大阪府豊中市に住む、ある企業の社長付きの運転手が、阪神大震災の時に神戸市に住む社長さんを迎えにいかなければと思って、午前8時に豊中市を神戸に向けて出発した。そして、8時間かけてやっと社長の家に着いた。ところが、社長宅は潰れていた。会社も潰れていました。
 大変な長旅をして来た運転手に対して、社長は姿を見るなり『今日は出社しないよ』といった。すると『さようでございますか』と、この運転手はいったそうです。そしてまた11時間もかけて豊中市に帰ったというのです。」 (一部抜粋)
こんな妙な例を持ち出すことがこの方のやり方です。誰から聞いたとも判らないエピソードは丸呑みするのはやめましょう。この調査にも異議があります。通常関西は東京ほど渋滞してません。出勤しようとしていた人が早朝のあの時間帯であんなに交通渋滞するでしょうか。いつ誰にどこで調査したものか、と。大方の車が震災の中心部から避難する人たちであろうと思います。あのとき車は必要なものでした。家がつぶれて雨風をしのげる場所でもあり、買物するにも出かけるにも車は重宝なものでしたから。