よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

「暦入門ー暦のすべてー」

暦入門

今日のご本は「暦入門」です。副題には「暦のすべて」とあり、初心者向きなのかそうでないのかはっきりして欲しいところです。


この本には本来の暦法のほかに「暦書」にもくわしくてためになりました。


「暦書というのは、一定の暦法によって組み立てられた一年の月日に対して、(1)起こるべしと予想されたこと、(2)実施すべく予定された事項のうち、公然で恒例なるものを、日に割り当てて記載したものである。(1)に属するものは天体暦のようなもので、天体の位置、日食・月食などの天文現象等を記したものであり、(2)に属するものは年中行事とか歳時を記した日常生活に使われる常用暦である。」


日本では古くからさまざまな暦が使われていました。
明治2年に土御門家が明治政府に請願して造暦・頒暦の権利を得、さまざまな地方暦のうち土御門家の許可を得たものを弘暦者として暦を売ることにさせました。
明治5年弘暦者の申しあわせにより、頒暦商社を設立、頒暦権を独占します。
明治6年太陽暦を施行することになったのです。旧暦法による明治6年暦はすでに販売されており、この年に限り願い出たものは暦が発行でき、またそれまで発行権を持っていた弘暦社には向こう3年間の暦を頒行させたのでした。


その後専売権はたびたび延長され、明治14年にようやく終了。
明治15年伊勢神宮司庁の申し出を受けて頒行を許可することになります。伊勢神宮の暦は国暦として標準暦としての体裁をもちつつ昭和20年12月15日まで続くのでした。戦後は神社への国家援助が禁止されて現在に至ります。


今縁日で売られる高島暦などは内容も出版も自由にまかされているものです。


土用というのはなんのことかご存知でしたか。土用の丑の日にはうなぎを食べるものだというくらいでしょう。
土用というのは中国の陰陽5行説をすべてに当てはめようとしたものです。
しかし春夏秋冬の四季にも木火土金水の5行を当てはめようというのはちょっと無理があります。
そこで四季をやめて1年を五季に分け、一季を72日にすることにしました。しかしこれもよろしからず、またもとの四季に直してから春には木、夏には初めの2ヶ月を火、後の一ヶ月を土に、秋には金を、冬には水を当てました。さてこれからがややこしい。


「ところがこれも平等であるはずの5行の火・土だけが2箇月と1箇月で不公平である。さらに考案されたのが、春夏秋冬それぞれ3箇月に、木火金水を当て、土には夏と秋の間に季夏という空名を与えることである。しかし、これでも具合が悪いというので案出されたのが、各季の5分の1の長さをその終わりから削り取って、5行の中央に位置する土の支配するところとするものである。各季の長さ91.310日からその5分の1の18.262日をとって、土の司るところとしたのである。したがって各季節91日余の終わり18日余が土に属することになったのである」


いかがでしょうか。土用は春の土用、夏の土用、秋の土用、冬の土用とあるのですね。夏の土用に入って最初の丑の日が「土用の丑の日」です。