よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

「鉄のカーテン」は火災防止

鉄のカーテンと聞くとチャーチルチャーチルといったら鉄のカーテン


チャーチルが1946年3月アメリカでの演説時に使用したのが有名ですが、最初に使った人はだれなのかというと、チャーチルじゃないらしいです。


http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%89%84%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%B3


故・米原万理さんの本「ガセネッタ・シモネッタ」に柳瀬尚紀さんとの対談がございまして、辞書についての談義が交わされる中、


米原 漢字を書くときによく辞書を使います。ただ、百科辞典とか『広辞苑』『大辞林』タイプは結構引くんです。たとえば「鉄のカーテン」という言葉があります。これ『広辞苑』『大辞林』では、チャーチルが使ったというところまでしか出ていない。小学館の『大百科事典』を見ると、ナチスの宣伝相ゲッペルスが最初に使ったと書かれています。つまり、1946年3月、チャーチルがアメリカで「鉄のカーテン」と演説する1年前、敗戦濃厚な時期になんとか連合軍を分断させようと「ドイツが負けたあかつきには、東欧諸国が鉄のカーテンによって遮られることであろう」と、ゲッペルスが書いている。
 日本の辞書はここまでなんです。ロシアの辞書を見ますと、それよりもさらに15年前の1930年にニクーリンという作家が「文学新聞」に書いているとあります。「舞台で火の手が上がった時に、それが広がらないように鉄のカーテンを下ろすことがある。西側諸国では、いまはソ連があたかも火事であるかのように考えている。だから、革命の炎が燃え広がっては困るというので大急ぎで鉄のカーテンを下ろしている」ということを書いている。ですから、1930年のソ連では、鉄のカーテンソ連側ではなくて、西側が引くんだという考え方だった。


柳瀬 面白いですね。


米原 その記述がすごく気になったので、「鉄のカーテン」を『ロベール』で調べてみたら、第一義が「防火幕」です。第二義が「防犯シャッター」、そして第三義がチャーチルの使った意味になる。第一義というのは18世紀かな、リヨン市にできた劇場で初めて防火の目的で鉄のカーテンを用いるようになったんですって。これは昔舞台でろうそくを使っていましたからね。
(一部抜粋)


てなわけで、「鉄のカーテン」という言葉の本来の意味するところを初めて知ったわけであります。