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よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

「治療をためらうあなたは案外正しい」

治療をためらうあなたは案外正しい

「治療をためらうあなたは案外正しい」(名郷直樹著・日経BP出版センター)


健康診断で高コレステロールと言う結果が出たらどうするか?コレステロールが高いと将来みんな心筋梗塞で死ぬのであろうか?


同僚のIさんが悪玉コレステロールが高いそうで、メバロチンを投与されたんですが、その結果腎臓の数値が悪くなってしまいまして、薬による治療はやめて、食事療法に取り組むことになりました。


コレステロール値が高いといっても260くらいだそうなので、家族性コレステロール症ではありません。女性で50なかばという年齢からいって相応の値じゃないでしょうか。


ところが医者ではもう治療はやめましょうということにはならないらしい。薬がダメなら食事療法をという訳で、栄養士さんからじつに細かい注意があるそうなんですぞ。


I「このままコレステロールが高くて心臓病になったら困るからさぁ、今食事に気をつけてるのよ。
 食事を抜くのは絶対ダメだって。蛋白質と野菜と炭水化物を必ずとって、しかも一回ごとのバランスが重要で、今日食べなかったから明日とリましょうではいけないって言うの。
 運動もね、一日一万歩歩くようにって。私は仕事場でもう一万歩歩いてますって言ったら、仕事で歩いているのは歩いたうちにはいらないから、それとは別にもう一万歩を歩けと言うのよ。」


Iさんの場合薬を飲むか飲まざるかの答えはもう出ております。


スタチン系の薬では数十万人に一人の割合で横紋筋融解症の副作用があるってことですが、投薬を続けられない副作用が彼女にはあったわけですね。筋肉溶けちゃうんだから尿にタンパクがでてきて当然だろうし、これは結構重大な薬害だと思うんです。まれな副作用というけれど、程度の差はあれ、そんなにまれではないんでないかい。代謝系は人種年齢性別によって相当差があるので、日本人でのくわしい臨床実験を知りたいですね。


この「治療をためらうあなたは案外正しい」という本では、治療のエビデンス(根拠)について最新の知見を教えてくれます。
2006年日本人におけるランダムか比較試験の結果が英語で出版されました。
「どんな研究だったのでしょう
 本題に入りましょう。この研究は、40〜70歳、女性が7割弱、総コレステロールが220から270㎎の7832人の日本人を対象に、スタチン系薬剤に一つであるプラバスタチン(商品名メバロチン)という薬と食事療法の療法を行うグループと、食事療法だけを行うグループで、心筋梗塞の発症率にどれほど差があるかを見たランダムか比較試験です。(中略)
 待望の結果をまとめてみると
 食事療法単独群では、1000人の人を1年間追跡したところ5人の心筋梗塞が発症、一方プラバスタチン・食事療法併用群では、3.3人の発症であったーーーこれがこの研究の結果です。」
http:www.mega-study.jp/mega-study.html


年率0.5%の発症率を0.33%に減らしたわけですね。

試験期間の5.3年間で食事療法のみの群3966人中101人、薬と食事療法の併用群3866人中66人。プラバスタチンで総死亡率を減らすこともないようです。薬の効果はあると思えるものの、薬を飲んで置けば安心というわけでもなさそうです。


参考
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2008/11/ebm-9322.html
「[書評]治療をためらうあなたは案外正しい EBMに学ぶ医者にかかる決断、かからない決断(名郷直樹)」
極東ブログ

極東ブログさんには、「『プラバスタチンナトリウム』つまりメバロチンは1989年に発売、1993年には国内医療用医薬品として初めて年間売上1000億円を越えた。もともと日本が開発した薬ということもあって当時の厚生省も随分がんばった。動脈硬化学会もメバロチンの発売に合わせてそれまでコレステロールの正常値250を220まで下げたので、日本国中高脂血症患者ができた。」(2003.12.10「コレステロールに注意」より)というのがあって、まあチェックしておくのも良いかもです。)