よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

寿司応援

寿司応援って言ったって、ガンバレーって叫ぶわけじゃありません。年末年始に店で製造して販売する寿司のため、惣菜部へ派遣されるのを応援というのです。

 

まずは何をするのか聞いてみる。

「この容器に2貫ずつ、中トロ、タイ、めばち鮪、はまちの順に並べて1列作って、右へ流して」

右の人は中段の8貫を詰め、さらに右に流す。そこで3列目が詰められ、特上握り寿司2人前パックができるという段取りであるらしい。

 

さて、言われたとおり、10回くらい同じ動作をこなしていると、関東弁のオジさまがやってきて、

(惣菜担当のマネージャーがこの年末にダウンして2ヶ月休職のため、エリアマネージャーかなんかの偉いさんが「応援」に来てるらしかった)

「あ、それもうやめて。次一人前の作って」

「一人前?」(この時点で自分がなにを作っているのかまだ分かっていなかった)

「そう一人前の。できる?」

「わかりません」

「え~?」

「一個ずつにしたらいいだけだよ」

「いや、できません」

私に出来るわけないだろう、さっき「応援」に来たばっかだぜ。

「じゃあ、僕が見本作るから、この通りに作ってね、20個」

完成品の見本を作って見せてくれたのであった。

ホホー、と見本を見ながらなんとか詰める。思えば数年前に「応援」に来た時は、寿司の盛り込みはプロ(惣菜のベテランパートさん)がやっていた。この仕事する人もおらんようになったのか。人手不足は深刻であるようだ。

 

オジ様が帰ってしまったので、特に指示・命令する人もいないまま、20パックが完成し、近くのバイト君に「次はなにしたらいいでしょう?」というと、

「一人前の寿司、20個じゃなくて100個でした」

「ハァァ?」

ほな100個つくらんとな!

 

まず容器をさがす、容器もなければ蓋も見つからない。なんとか見つかったら、今度はネタがない。

穴子とイカゲソがないんで、それ抜きで作っておいてください」というバイトリーダーくん。

言われたとおり、とりあえず10貫パックのところ8~9貫という未完成品が40個できたが、いっかなネタが来ないので、

「蓋しておいてください」

乾いちゃうもんね。

仮に蓋をして置いてあったのに、それに気がつかないで台車に乗せて売り場に持っていこうというバイトちゃんがいたので、慌てて取り戻す。あぶないあぶない。

イカのないのは「イカなし」、穴子とイカのないのは「穴子イカなし」と紙に大きく書いてパックに貼っておく。

しばらく待機している3人。

ようやくネタが来たので、パックの蓋を開けてイカゲソを詰めてみる。しかし穴子はまだである。

また蓋を占めて待機である。穴子はまだか!

 

いい加減あほらしくなったので、何か作るの手伝いますよ、といって時間になるまで数の子のネタを作ったのだった。数の子のパックを開けて水分を拭き取り、シャリにのせて海苔を巻いて接着する。こういう細々した作業は結構好きである。一心不乱にやってるうちに交代が来たので、今日はここまで。

 

「応援」が必要なのは作業する人員ではなく、材料を配分する係、今何をいくつ作るかを把握して指示する係であろう。

 

売り場に戻ったら、ネットで予約注文した寿司が時間になっても届かないというクレームがいくつも来たそうで、副店長やマネージャーがそれぞれ寿司を配達に出向いたそうである。作業場ではそんなこたぁ聞いてないのであるが・・・。