よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

イヌイットはDHAで健康か

イヌイットには動脈硬化が少なく、心臓病で死ぬひとはほとんどいないそうであります。野菜を食べずに肉ばかり食べているという身体に悪そうな食生活なのに、それってホント?


http://www.food.maruha-nichiro.co.jp/dha/dha11000.html
DHA発見物語〜イヌイット健康の秘密」(マルハニチロ

「約1000人のイヌイットが暮らすグリーンランド西海岸の小島、UmamaK。
北緯 71°に位置するこの町の人々は狩猟や漁業を営んでおり、アザラシや海鳥、鯨、カレイやサケを好んで食べます。イモ類と野菜はまったく食べません。
1972年、デンマークの Alborg病院の H. O. Bangと J. Dyerbergがここで暮らすイヌイットから採血し、その血中脂質をデンマーク人の 316名の血中脂質と比較したところ、驚くべき事実が判明しました。
なんとすべての年齢層で、デンマーク人よりもイヌイットの方が血中脂質の低いことがわかったのです。同様に、血中コレステロールや血中トリグリセリドも、各年齢層でイヌイットの方がデンマーク人よりも低くなっていました。
さらにイヌイットデンマーク人の罹患率の比較では、急性心筋梗塞多発性硬化症、乾せん、糖尿病による罹患率デンマーク人と比べてイヌイットは低いとわかりました。」


このHPにあるイヌイットデンマーク人の罹患率の比較表をみてみましょう。
心筋梗塞イヌイット3%に対してデンマーク人40%!いくらデンマーク人でも40%も心筋梗塞ってのは多すぎやしませんか?この調査の元はどんなものなのでしょうか。


http://www.naoru.com/kessenn.htm血栓症)より
グリーンランドの原住民イヌイットには、虚血性心疾患がきわめて稀であることが知られている。たとえば、グリーンランドの西海岸の北極圏にあるウマナク地方には約1400人の住民がいたが、1963年〜1967年の4年間でわずか3例の動脈硬化性心疾患が登録されているのみである。しかも、その3例を詳しく調べると、1例はリウマチ性心臓疾患であり、他の2例は78歳の不整脈で2回の診療記録であった。」
(青木延雄著「血栓の話」p46〜)


3%ではなく3例の診療記録であります。人数は2人。どうなってるんでしょうか。
責任者出て来い。




さて、カナダのイヌイットの最近の平均寿命は68歳程度という記事もございます。


http://www.statcan.ca/english/freepub/82-003-XIE/2008001/article/10463-en.htm
(ヘルスリポート カナダイヌイット 1983〜2003)

「1991のときに、イヌイット居住地域での出生の平均余命はおよそ68年でした。(その年は全体的に見てカナダより10年低かったです)。 1991年から2001まで、イヌイット居住地域の平均余命は増加しませんでした、全体でカナダにおよそ2年上昇しましたが。 その結果、ギャップは12年以上まで広くなりました」


http://journeytoforever.org/jp/farm_library/price/price05.html
「エスキモー:孤立した住民と近代化した住民」
によれば、1933年の調査で、
「近代文明と接触するようになってからというもの、アラスカに住むエスキモーの人口は急激に減少しつつある。ある筋によると、この75年間にその人口は50%減少したということである。」


近代文明と接触したため集団に新たな感染症がひろまり、一時的に人口が激減した時期があるわけです。エスキモーが短命な民族だと言われるのはこの頃の印象が大きかったと思われます。
その後公衆衛生と医療の急速な充実によって乳児の死亡率が下がって平均余命が伸びたと。近代食によって伝統食が減って、もはやかつてのような生肉食ではなくなっています。