よしなしごとダイアリー

日常のあれこれをああでもないこうでもないと考える

まだ続くコレステロールの話

コレステロールの本

コレステロールは高いほうが病気にならない」(浜崎智仁著 ベスト新書)
コレステロールの低下薬スタチンは日本では年間3000億円を売り上げる世界で最も売れてる薬なわけですが、コレステロールはそんなに下げないほうがいいというご本です。


 「そもそも心筋梗塞の発生率が少ない日本で、スタチンを使用したところでいったいどのくらいの人の命を救えるのか、以前、筆者は計算したことがある。
 まず、スタチンの効果がどの程度のものなのか、北欧で行われた「4S(スカンジナビアン・シンバスタチン・サバイバル・スタディ)」という大規模な介入試験を紹介しよう。


 4Sでは、心筋梗塞を起こした経験のある4444名の男性患者さんを二つのグループに分けて、一方にはスタチン(シンバスタチン)うを、もう一方には偽薬を与えて両群の経過を追跡している。その結果、スタチンを投与したグループの人たちは対照群に比べて総死亡率が30%減った。(中略)


しかし、
『総死亡率が30%減った』
という結果が、果たしてどこまで評価できるのか、計算してみて唖然とした。
試験対象者のうち、スタチン投与群は2221名で、5年間で182名死亡している。一方、対照群では2223命中256名が死亡しており、スタチンを服用することで得をした人はその差である74名。
つまりスタチンを服用すれば30名に一人が助かる計算になる。


これに日本独自の諸事情、すなわち日本では心筋梗塞の死亡率が北欧のおよそ6分の1であること、そして日本では心筋梗塞の経験のない女性患者さんがスタチン服用者の3分の2を占めていることなどを考慮してさらに計算してみる。


すると、日本でスタチンの恩恵にあずかれる人は、20年間治療したとしてせいぜい500人にひとり程度となった。」


一人を救うのに4億円の薬代がかかっているのであります。


さらに「脳の栄養失調」(高田明和著 ブルーバックス)によれば、
コレステロールの70%は体内で合成され、食事でとる量が少なくなれば体内で多く合成されるようにバランスを取っているのです。コレステロールの20%は脳が使っており、脳はコレステロールを必要としているのだそうです。


「スタチンはコレステロールを下げる薬効のほかにもアルツハイマーの発症リスクを下げることも知られています。スタチン系薬は、セクレターゼ(APPからβアミロイドを切り離す酵素)の作用を抑えたり、βアミロイドがリポタンパクと結合するのを妨げます。またNOSの働きを抑えることで、活性酸素ができるのを防ぐことも知られています。さらに最近免疫にかかわるT細胞の働きを抑えることで、炎症ストレスを和らげることもわかりました」


スタチンで寿命が延びるのはコレステロール低下作用ではなく細胞増殖や炎症を抑える作用のためではありませんか。


心筋梗塞を予防するのはほどほどにして、体全体の健康をおもんじたほうが賢明でありましょう。


参考
高脂血症Q&A」(まえだ循環器内科)
http://www.m-junkanki.com/diseases/HL.html#QQ